- 荷姿
- 15 リットル / ポリエチレン袋
1,000 リットル / フレコン袋
- ●建設現場 :
- 再生砕石の混入した現場発生土
- ●埋 立 地 :
- セメント固化処理によるアルカリ化
- ●法 面 :
- セメント安定処理によるアルカリ化
土壌pHによるハツカダイコンの根の生育状況
pHは6.0で生育が最も良く、pHが上がるごとに、根は生育障害を示しています。このことから、根は明らかにアルカリの影響を受けて障害が現れ、pHは 9.0から異常、pHは10.0以上になると正常な時の半分以下しか根が発達しないことが分りました。
建設工事現場では、近年ゼロエミッション化(廃棄物をゼロに近づける活動)や、建設工事に係る資材の再資源化に関する法律(建設リサイクル法)などにより、廃棄物を有効利用する動きが活発化しています。建物の外構分野においても、植栽に利用される土壌が、これまでの外部から搬入する良質な土壌から、コンクリート塊が多く混じった「残土(場内発生土)」へと大きく変化しました。また大規模な土木造成地では、地盤安定処理のために大量のセメント系固化材が使用されており、都市の土壌や植物を取り巻く環境が急速に「アルカリ化」に向かっています。
コンクリート塊やセメントは、pH12といった高いアルカリ性を示し、土中に入ることで、植物生育に障害が現れ、「みすぼらしい景観」を呈することもしばしばです。しかしこれまでアルカリを中和する決定打が中々ありませんでした。伝統的な手法として、硫酸第一鉄・硫酸アルミニウム・酸性石膏など、土中で強酸性を示す資材が使われていますが、これらは土中で硫酸根が水と反応して硫酸を生成してpHを下げると同時に、残った酸がアルカリ分と反応して塩類を生成し、EC値(電気伝導度)を上げる結果となってしまいます。EC値が上がると塩類過多によって、植物に大きな影響が出ます。またpHが元に戻ってしまうリバウンド現象が現れることが多く、アルカリ改良資材の開発は難しい点が多くありました。
弊社は20年に渡り、「人為的なアルカリ障害土壌」を改善する研究に携わってきました。そこで得た多くの 知見と改良事例をもとに、アルカリ土壌中和剤 「アルカリメイト」を開発しました。リン酸塩を主な成分としており、従来のアルカリ改良剤に比べ、リバウンド現象(施用後に再び高アルカリ化へ戻ってしまう現象)が極端に少ないことや、EC値(電気伝導度)を高めないことが大きな特徴です。重金属などの影響も無く、「アルカリメイト」で改良した土壌からの浸出液に魚毒性が無いことも実験で確認しており、安全性が高い資材です。納入形態は15kg入の小袋と1000kg入のフレコン袋の2種類。添加量は、土質やpHの数値によって異なりますが、良質土壌による入れ替える手法に比べ、最大約65%の費用で問題土壌を安全に改善でき、しかも環境にも優しい技術です。
下のグラフは、pH11.0の土壌に「アルカリメイト」を1立米あたり50kg投入して、そのpH降下とEC値(電気伝導度)の変化を実験したものです。「アルカリメイト」は、添加直後から急激にpHを降下させ、約5日(120時間)でpHは8.0を下回り、1ヶ月後(約700時間)にpHは7.2前後で安定しました。同時にEC値は、pH11.0の土壌で0.7mS/cmであったものが、添加直後に0.75mS/cmに上昇したものの、1ヵ月後にはほぼ元の0.7mS/cmで安定していました。このことから「アルカリメイト」は、EC値を上昇させずに、アルカリの改良を行なえる資材であることが分かります。
アルカリ化の問題は植物への悪影響だけでなく、アルカリ化した土壌からしみ出す排水などにも影響するため、厳しい基準や指針が設けられています。例えば、国土交通省大臣官房官庁営繕部「建築工事監理指針」(平成16年度版下巻)によれば、「pH値が8.0を大きく超える場合は、酸性有機物では施用量が多くなることから、中和剤を用いることが多い。硫酸第1鉄等の硫酸系を用いる場合は、pH値のリバウンドや電気伝導度(EC)の上昇に留意しなければならない。電気伝導度(EC)を抑制する中和剤としてアルカリ土壌中和剤がある」と記載されています。社団法人日本道路協会の「道路緑化技術基準・同解説」では、「pHは4.5~8.0の範囲を基準とする」と規定されています。